ここ2、3年、携帯電話やインターネットの集中により、携帯をターゲットとし、インターネットを介して流布される新たな脅威の潮流がいかにして誘発されるのか、ということについて、iGillotResearchの報告(PDF)に見られるような議論が登場している。我々は実際、携帯ネットワークオペレーターに対する攻撃を数多く見てきた。しかし現在までのところ、インターネットベースの攻撃を受けたユーザーはほとんどいない。

  たとえば昨年、Apple iPhoneに、インターネットを介して蔓延する初のトロイの木馬が登場した。しかしそれは「深刻なクライムウェア」というよりは、「スクリプトキディのおふざけプログラム」だった。しかも、それは携帯電話に対するインターネットベースの脅威として初めてのものでさえなかった。専門的には、2006年のEliles.Aワームが初と言えるからだ。2009年も半ばとなったが、インターネットを介して流布する携帯マルウェアの目をひくような発生は現在もまだ見られない。

  というわけで、これは携帯セキュリティに関するヨタ話の一つなのだろうか? まぁ、そのようなものだろう。今日、AppleがiPhone 3G Sモデルを6月19日に発売すると発表した。同製品はより高速になり、より多くの機能を搭載している。

iphone(source: att.com)

  改良されたiPhoneでは、Safariブラウザによる容易なサーフィン、App storeで入手できる膨大な種類のプログラムなどがアピールされており、Appleは自社の携帯電話を介して、より多くの人がオンラインに参入するよう駆り立てているように見える。

  そして昨今、携帯電話に関してはAppleが向かうところに人々が付き従う、という傾向があるだけに、大多数の携帯電話生産者たちは先を争って、オンラインブラウジングのユーザーフレンドリーさを、自社製品でもiPhoneと同等レベルで提供しようとするだろう。もしそうなれば、それはより多くのユーザーが携帯でネットサーフィンし始めるということを意味する。

  それはすなわち、マルウェアの作者たちが、携帯電話をより一層ターゲットにし始めることを意味するだろう。携帯電話の生産者たち、そして携帯ネットワークオペレーターたちが、初のトロイの木馬を一種の「威嚇射撃」と捉え、強固なセキュリティ対策を準備することを期待したい。

  現在のところ、携帯戦線は平穏なようだ。

  関係ないが、新しいiPhoneはインターネット・テザリング機能も正式に導入している。これによりユーザーは、Wi-Fiホットスポット無しに、コンピュータをiPhoneに接続し、ネットサーフィンできる。一部のユーザーは、この機能を長いこと切望してきたが、望みが叶ったわけだ。お楽しみあれ!