6月にミッコ・ヒッポネンが来日したときインタビューでは、彼はブログなど最新のソーシャルメディアの利用に積極的な面とともに、特にTwitterの利用については「半年間経過して、4,000フォローを超えなければ続けないと思います。」などと意外にコンサバな面とを見せていました。

  しかし私はそう簡単にはあきらめて欲しくないと思っています。なぜなら、Twitterのような新しいメディアは、今までに前例がなかったわけですから将来を予測することも難しいので、単純にリーチできる人数だけで計測するのでは、何か大事なポイントを外してしまうかも知れないからです。

  TwitterしているF-Secureのメンバーでは、今のところミッコのフォロワーは1630くらい、パトリック・ルノーのフォロワーは740くらい、フェイ・ウィン・チアのフォロワーは49くらいです。でも、坂本龍一さんの日本語Twitterアカウントがフォロワー452だったりしますからミッコの方が多い。他のセキュリティ関係者でも、ウェブアプリのセキュリティで知られるジェレマイア・グロスマンのフォロワーは1590くらい、DNSキャッシュポイズニング発見のダン・カミンスキーのフォロワーは2740くらい、Metasploitのhdmooreのフォロワーは3090くらいです。

  また企業名アカウントだからといって特にフォロワーが増えるわけでもありません。F-Secure Labsのフォロワーは600くらい。ではご近所業種はというと、McAfee AvertLabsでは1810くらいで、Kasperskyは1970くらいといった具合。ミッコ1人とさほど変わらないくらいのフォロワー数です。

  しかし違う視点で見てみると、アルファ・ブロガーとして知られるネタフルKogureさんのフォロワーは4650くらい、Kengoさんのフォロワーは14530くらいというように、今までのメディアでの知名度を尺度として考えてしまうと、Twitterでの人気の出方の実情が理解できなくなってしまいます。

  さらに違うのは、特に速報性という面ではTwitterは今までのニュースメディアを追い越している部分がありますから、即時性の必要なセキュリティ情報については情報発信すること自体が有益です。そして興味を持たれたポストは、「ReTweet」(RTと略す)という形でたくさんの人が複製し伝搬して行きますから、フォロワーの数というよりも、自分のポストに興味を持っている人たちがどれだけたくさんフォロワーに存在するかという方が重要なことが多いのです。

  Twitter自体の総ユーザー数も増加し続けていて、6月末には世界中で3700万人を越えたという話題が出ています。2008年の12月には500万人くらいのユーザー数だったことを考えれば、このような変化の激しいソーシャルメディアとは、情報発信する側も関わり方を研究しながら進める必要があるのではないでしょうか。