2009年も暮れとなった。

  10年前の1999年末、世界のITプロフェッショナルたちは、コンピュータ・システムを2000年問題に対応させるべく精査するのに忙しかった。これは世紀越えが問題とならぬよう、全てのレガシー・ソフトウェアとハードウェアをダブルチェックすることを意味した。

y2k  では問題は何だったのだろうか? たとえば1997年ならば、プログラムがある人の年齢を、その年から生まれ年の1965年を引くことによって計算しようとする場合、単純に97から65を引き算すれば、その人は32歳であると正しく結論することができる。2000年に入ると、この計算は明らかに失敗する。なぜなら、「00-65」と計算すると、その人はマイナス65歳になってしまうからだ。2000年問題に対応したソフトウェアを作るということは、日付を使用する全てのソフトウェアのソース・コードを調べ上げ、「2000-1965」という風に正しく計算するため、4桁の年数を使用するよう変更するということを意味する。

  これらの問題を修正するため、莫大な労働時間と金が費やされた。

  そしてこの労力は無駄にならなかった。世界のY2Kプロジェクトは成功した。2000年1月がやってきた時、ほとんどのシステムはすでにチェックされ、修正されており、軽度な問題が報告されたのみだったからだ。

  残念なことに、これは十分ではなかった。この問題の周辺で大騒ぎが発生したのだ。主立ったメディアは1月1日に重大な破綻、停電、暴動が起きることを予想していた。ヒステリーを利用してもうけようとするセールスマンも後を絶たなかった。たとえば、Amazon.comで「The Millennium Bug」やレナード・ニモイがホストを務めるビデオ「Y2k Family Survival Guide」といった商品をチェックして欲しい。

Y2k Family Survival Guide on Video with Leonard Nimoy  The Millennium Bug  

  当時、Y2Kプロジェクトが間に合い、食料が底をつくこともなさそうだということを、人々に信じさせるのは容易ではなかった。

  そしてひっそりと年が変わった。

  新年を迎えるやいなや、主なメディアは、深刻なY2K問題が起きなかったことから、バグを見つけるあらゆる努力はそもそも不必要だったと指摘した。実際のところ、現実世界の問題を阻止するためにY2Kコンプライアンスに数百万がつぎ込まれたのだが。

  奇妙なことに今日も、心配する必要はなかったし、コンピュータ・システムは特別な努力をしなくても、申し分なく稼働していただろうと考える人が存在する

  では、それはエフセキュアとどういう関係にあるのだろう? Y2Kを越えて、様々なウィルスが現れるのではないかと考えていた人がいたことを除けば、それほど関係はない。我々は理屈が通っているとは思わなかったが、懸念を軽減するため、状況をモニタすべく、2000年の元旦に向け特別にY2K Watchヘルプデスクを設置した。

  面白いことに、情報を提供するためにブログのフォーマットを用いたのは、10年前のY2K Watchが最初だった。オリジナルの「F-Secure Y2K Watch Real-Time Status Updates」のページはこちらにあり、新しい投稿は上に掲載されている。エントリーは1999年12月31日から、2000年1月3日まで。同ページでは、当時世界で報告された軽度のY2K問題に関する、現実世界での例もいくつか紹介している。

  では、次は何だろう? 2038年問題が間近に迫っている。あなたが25年ローンを組んでおり、銀行のシステムが2038年問題に対応していないのなら、3年後にはこの問題にぶつかるかもしれない…

追記:1999年に行われたY2K修正の中には、急ぎ仕事もあった。たとえば、以下のようなロジックが適用されたのだ: IF YEAR < 10 THEN YEAR = YEAR + 2000 ELSE YEAR = YEAR + 1900 このようなやり方は、2009年と2010年に問題を生じさせる。実際の例については、この記事へのコメントの一つを見て欲しい。