再生利用エネルギー産業と電動機器産業にACドライブを世界的に供給しているVacon社とエフセキュアが、産業オートメーション技術におけるアプリケーションのセキュリティ研究を推進するために協業することになりました。
Vacon社は、ACドライブの製造・販売しているメーカーで、産業オートメーション技術の先駆者として、90年代中頃に初めて市場にACドライブをベースにしたソフトの提供を開始しました。同社は、営業拠点を世界27カ国、開発拠点をフィンランド、米国、中国、イタリアに置いており、2009年度の売上は、2億7200万ユーロ、従業員は世界中に約1,200人を数えるグローバルカンパニーです。

協業のきっかけとなったのは、「Stuxnet」による一連のインシデントでした。

Vacon社が製造しているACドライブに「Stuxnet」が直接感染するわけではないものの、同社は、このインシデントを重要な教訓として捉えており、業界全体で「Stuxnet」の脅威を自覚、産業オートメーション技術とデータ通信の各ドメインにおいて脅威の認識、理解、およびノウハウを深め、将来のリスクに備えるべくエフセキュアと協業、同分野におけるセキュリティの研究を推進することになりました。

先週11月24日、Vacon社がドイツのニュンベルクで行った記者会見では、ミッコ・ヒッポネンが「Stuxnet」の最新情報を発表しました。記者会見には、欧州諸外国から多数の業界専門の報道関係者が集結し、記者会見が終わると、ミッコ・ヒッポネンのインタビューを希望する記者が殺到したそうです。

記者会見でミッコは、「Stuxnet」が、工場のオートメーションシステムを狙ったマルウェアであることは既に立証済みで、このような攻撃は今後も続くことを示唆。さらに「Stuxnet」がいかに高度なマルウェアであったかに触れ、「like alien technology (まるで異質な技術)」であると言及しました。

Vacon社で副社長を務めるヘイッキ・ヒルトゥネンは、「Stuxnet」は、業界全体を開眼させる事件で、既に顧客以外の産業オートメーション技術の主要メーカーからも「Stuxnet」の脅威への対処法に関する問い合わせを受けていることを明らかにしました。さらに、エフセキュアと協業することにより、顧客に最新のセキュリティ情報を提供するだけでなく、将来起こり得る事態への対応に備え、ACドライブに特化した世界最大の企業として、業界全体のセキュリティにおいてもリーダーシップを執りたいと述べました。

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