人々はどうして、自分の個人情報を赤の他人に与えることをいとわないのだろう?

  それは人間が情報を共有したいと考えるからだ。そして実際、所有物やサービスといった「もの」よりも、ずっと気楽に情報をシェアしている。

  以下のうち、あなたがもっとも、あまり考えずに提供しそうなものはどれだろうか?

  •  見知らぬ人にバス停の方向を教える(情報)
  •  見知らぬ人をバス停まで連れて行く(サービス)
  •  見知らぬ人にバス代をあげる。(所有物)

  あなたが多くの人と同様なら、躊躇無く方向は教えても、自分のお金をあげることには抵抗するだろう。

  そしてこれが、発達した人間社会の仕組みだ。中でも我々は特に情報を共有する。何故なら、それはほとんどコストがかからず、社会がより効率的に機能するのに役立つからだ。

  この考えは、クレイ・シャーキーが2010年、South by Southwest(SXSW)で発表したものだ。シャーキーは何度もTEDトークを行っており、テクノロジーの社会への影響に関する思索で広く尊敬されている。プライバシーに関する話題に興味があるなら、シャーキーが2008年の「Web 2.0 Expo NY」で行ったプレゼンテーション「情報洪水などない。それはフィルタリングの失敗だ」を見るべきだ。

  このプレゼンテーションで、シャーキーは「プライバシーは情報フローを管理する方法だ」という所見を述べている。シャーキーによれば、我々がプライバシーに関して直面している大きな問題は、我々が設計された一つのシステムから、異なる特性を持つ他のシステムに移行するのではなく、徐々に発達したシステムから設計されたシステムに移行している、という事実を中心に展開しているということだ。

  「プライバシーを管理すること」は、自然な行為ではない。

  昔、プライバシーは、人々をスパイすることが簡単ではなかったことで維持されていた。Facebookのようなプラットフォームは、新たに独特な問題を生み、そして古くから存在するフィルタを一新するのではなく、むしろ新たなソリューション(フィルタリング)が必要となる。


YouTube:情報洪水などない。それはフィルタリングの失敗だ。