遅ればせながら、2011年11月29日にフィンランドの本社が発表したニュース "A Growing and Diverse Device Market Presents New Security Challenges in 2012" を翻訳してみました。(注: 一部超訳してあります)

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<以下、フィンランド本社発表資料超訳>

アナリストの分析によれば、ネットユーザの多くが、PCやモバイル端末などの多様化する機能を統合した "オールインワンデバイス" に移行するだろうと予測しています。しかし、現状は少し異なります。ノートPCやスマートフォン、タブレットなどの新しい端末が登場するたびに、まるで新しいテクノロジを現状の環境に追加していくように、ユーザの多くは、古い端末を新しい端末に置き換えるのではなく、新旧混在した複数の端末環境で、複数 OSを利用しています。つまり、端末の多様化に伴い、すべての端末、すべてのOSのセキュリティを確保することが一層複雑化して おり、それはユーザだけでなく、我々エフセキュアなどのセキュリティ対策を提供する企業や、キャリアやサービス事業者、メーカなどにとっても大きな課題となっています。


未だに狙われているWindows XP

今年10月、統計調査や解析サービスを提供するStatCounterが、 Windows 7がWindows XPに代わりOSの世界シェアトップの座を獲得したと発表しました。確かに、市場シェアの観点からはWindows7がWindows XPを超えていますが、だからと言って劇的にWindows XPが縮小するわけではありません。 エフセキュアのセキュリティ研究所でセキュリティ・アドバイザを務めるショーン・サリバンは、 「多くのユーザは、Windows XPを搭載した古いPCを放棄するのではなく、新たにWindows 7を実装したPCを導入しており、それはサイバー犯罪者にとっても朗報といえる。彼らサイバー犯罪者にとって、少なくともしばらくの間はWindows XPがターゲットなのだから。」と述べ、サイバー犯罪者といえども新しいOSを狙うための投資が必要ということからも、必ずしも古いOSの危険性が低いわけではないことについて触れています。


ソーシャルゲームに傾くWindows Phone 7

2011年初頭、NokiaがMicrosoftとの提携を発表しました。このパートナーシップは、2010年まで世界シェアトップを誇っていた NokiaのOS、Symbianの縮小を意味しており、今後、モバイルOSの市場が劇的に変化することが予想されます。つい先日、Nokiaが 「Mango (マンゴー)」というコードネームで知られている「Lumia800」と「Lumia710」をリリースしました。これは、Windows Phone7.5を搭載したスマートフォンで、他の端末メーカがTwitterやFacebookなどのSNSを拡充する中、ソーシャルゲームにフォー カスを当て、若年層に狙いを定めています。たとえば、Xbox Liveのネットワークを用いてWindows Phone 7とXboxを同期することで、Xboxのゲームを利用できるサービスを展開するなど、多様化するモバイル端末市場での新しいポジショニングを狙っています。

ショーンは、 このような端末間の互換性について次のように述べています。「たとえば、Microsoftの ".NET Framework" を使用すれば、Windows 7、Xbox Live、そしてWindows Phone 7などの異なる端末、プラットフォーム間で、高い互換性を実現できるため、開発者にとって、Windows全バージョン向けのアプリケーションを開発することは容易いだろう。もちろん、サイバー犯罪者がこの互換性に目をつけないわけがないが。」


2012年はAndroidタブレットとiPad激戦の年

2012年は、新しいAndroid OSを搭載したタブレット端末が開発され、続々とデビューする年でもあります。Android 3は、Androidタブレットにとってはベータ版のプロトタイプに過ぎず、携帯電話が持っている「持ち味」とタブレット端末が持っている「持ち味」を統合 (サンドウィッチ) させていることから命名されたAndroid 4「Ice Cream Sandwich (アイスクリームサンドウィッチ)」により、開発者は端末に依存することなく、Android OS向けの開発に集中することができます。つまり、端末間のアプリケーションの互換性が高まることで、アプリケーション開発に革新をもたらし、さらに低価格も実現できると推測されます。

2012年は、iPad3の登場も見込まれていることから、AndroidタブレットとiPadとの市場競争が激化する見方が強まっています。

ショーンは、 「2012年のセキュリティの脅威状況について予測すると、まったく変化しないものもあれば、一方で前例のない、驚くべき事象が起きる可能性がある。たと えばAndroid OSの台頭に伴ってWindows OSが衰退しないように、市場は”変化”しているのではなく、”進化”しているのだ。その進化道程の隙間を狙うサイバー犯罪者がいてもなんら不思議ではな い。」と述べ、2012年へ臨む姿勢を見せています。

エフセキュア セキュリティ研究所の取り組みについてはこちらでご覧いただけます (英語)

<以上>


同郷であるNokia×Microsoftの展望も気になるところではありますが、激化するAndroidの市場動向とiOSのゆくえも見逃せません。さらに個人的にはSNSの進化も無視できませんし、2012年は例年に増してあっちやこっちやの大忙しの年になりそうな予感・・・。

実は管理人も様々なOS、端末を利用しておりまして、それでいて新しいものに目がないことが手伝って、あれもこれも欲しい・・・と昨今の年末商戦絡みのメッセージに振り回されながら、市場を慎重に見極めつつ、でも目移りしちゃって、ぐるんぐるん迷宮入りしています。


ともあれ2012年は、タイトルにもあるようにセキュリティベンダとしての挑戦が待ち構えているのは間違いなさそうです。がんばるぞ。


エフセキュアブログ管理人拝
尾崎 リサ