サイバー攻撃が盛んに報道されるようになって、サイバー犯罪捜査の方法も注目されるようになりました。
海外で世界規模のサイバー犯罪を取り締まった事例を見ると、おとり捜査、司法取引を駆使していることがわかります。
日本ではまだサイバー空間でこういったアグレッシブな捜査は行われていませんが、すでに世界では盛んに行われているのです。その捜査手法が克明に記された書籍が、「アイスマン」というタイトルで発売されました。アイスマンというのは本書で取り上げられた犯罪を犯したハッカーのハンドルネームであり、この本はアイスマン視点から書かれたというのも興味深い特徴です。

iceman

サイバーの潜入捜査も現実の潜入捜査と同じで、そう簡単に潜入ができるわけではありません。当然、犯罪者たちは警戒しているので、犯罪コミュニティに入るには信用が必要で、既存会員の紹介がないと入れません。さて、捜査官たちはどのようにして潜入していくのでしょうか。日本の法制度に縛られた日本の警察官では絶対に思いつかないような方法が書籍「アイスマン」の中では登場します。

先日、日本ではワンクリック詐欺で逮捕者が出て、犯人は一年間で総額6億円を振り込ませていたことが発覚しましたが、この「アイスマン」は100億円稼ぎました。それほど派手に動き回った大物犯罪者であっても、普通の捜査では逮捕できなかったのです。そして、一週間に100万ドル稼ぐと言われた伝説のカード詐欺師キング・アーサーにいたってはまだ捕まっていません。

現状日本では薬物捜査に限り、おとり捜査が行われていますが、いまやサイバー犯罪は麻薬市場を超える市場に成長しています。そろそろ、日本でもサイバー犯罪捜査の方法を真剣に見直すべき時期ではないでしょうか。


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