誰かが5年前、2012年までに国家が互いにサイバー攻撃を仕掛け合うようになるだろうと言ったら、私は信じなかっただろう。西側政府が他の政府の核開発計画を攻撃するため、サイバー破壊活動を使用するだろうと言ったら、ハリウッド映画のプロットだと思っただろう。しかしそれはまさに、実際に起こっていることだ。

  サイバー攻撃には、伝統的諜報活動や破壊工作に勝るいくつかの利点がある。サイバー攻撃は効果的で安価、そして否認可能だ。だから政府が好むのだ。実際、Stuxnetの背後には米国政府が(イスラエル人と共に)いたと、オバマ政権関係者が認めなければ、我々はおそらく、はっきりと知ることは無かっただろう。

  その意味で、米国政府がStuxnetに関する功績を(そして非難を)引き受けたことは、若干驚きだ。何故かれらはそうしたのか? もっとも明白な答えは、選挙年であること、そして有権者がイランのような敵対者に、大統領が厳しい態度を取るのを見るのが好きだということのようだ。しかし、実際の所は分からない。

  サイバー攻撃を認めることの否定的な側面は、他の政府がためらい無く、同様の攻撃を行えるということだ。そしてアメリカ合衆国はこのような攻撃を受ければ、ほぼ壊滅する。自国の経済をこれほどオンライン世界に結びつけている国は、他に無いのだ。

  他の政府は既に活動を始めている。ゲームは進行中であり、それを停止させるために我々にできることは、もはや無いと私は思う。国際的諜報活動は、いまやデジタルになった。将来起きる現実世界の危機はいずれも、サイバーな要素に影響を受けるだろう。将来の戦争も、だ。サイバー戦争のレースは、いまや公式に開始された。そして誰一人として、今後どうなるか分からない。

  Stuxnetを開始したことで、米国の当局筋はパンドラの箱を開けてしまった。彼らがその決断を後悔することになる可能性は高い。

ミッコ・ヒッポネン

  このコラムは、当初The New York Timesの「Room for Debate」セクションに掲載された。Ralph LangnerとJames Lewisによる他の見解も読んで頂きたい。