フォテイーンフォティ技術研究所 鵜飼です。

BlackHat/Defconに今年も行ってまいりました。
私はContent Review Boardとしての参加ですが、弊社からは技術戦略室の大居がWindows Phone 7関連のトピックで講演して参りました。

大居の現地レポートなどは弊社のBlog(本記事の下段にリンク参照)に掲載されていますが、私の現地レポートは少々遅ればせながらこちらで掲載させていただきたいと思います。

私は、BlackHat/Defconに2003年から参加しています。弊社が設立された2007年以降は、行く年もあれば行かない年もあるという状況ですが、昨年度からはBlackHatの論文審査を行うReviewerになった事もあり、Las Vegasは昨年度に続いての参加です。最近は、Black Hatも日本から参加される方が増え、現地の状況なども国内で共有されるようになってきました。そこで今回は、まだ国内ではあまり共有されていない話をお伝えしたいと思います。

■ BlackHat Speakerになるという事

BlackHat(特にLas Vegas)の魅力は、何と言っても厳しい査読を通過した全9トラックのプレゼンテーションが見られるBriefingsだと思います。世界中の研究者が、このステージに立つために日々研究を行い、成果をまとめあげます。方々で言われている通り、BlackHatではベンダーニュートラルな最新の研究成果が発表される正解最大規模のカンファレンスですが、この日のために時間と人を費やし、研究資金を投入し、論文審査を通過させ、発表を行う研究機関やベンダーは世界中に数多く存在します(弊社もその中の一つです)。論文審査も特にLas Vegasは厳しく、なかなか発表できません。ですので、かなり気合が入っているスピーカーも沢山います。

何故ここまで気合を入れるのか。それは、BlackHatで発表する事が、企業として、あるいは個人の研究者として、特に米国のセキュリティ業界では非常に高いステータスになるという事です。BlackHat Speakerになる事が一つの憧れであり、それに向けて挑戦を続ける研究者は少なくありません。このようなステータス性が、逆に発表内容のクオリティを維持している要因になっているものと思います。

■ BlackHatはオフ会、Defconはパーティ?

しかし一方で、BlackHatは「オフ会」としての側面も非常に強いです。こちらはあまり日本国内で共有されていないのですが、「BlackHatは超巨大なオフ会であり、高いクオリティの研究発表が並行して行われ」る、といった雰囲気を合わせ持っています。オフ会的要素と、研究発表的要素、どちらが欠けてもBlackHatは成立しないのではないかと思います。米国ではご存じのとおり転職が非常に盛んで、今どこで誰が何をしているのかを把握するのは、Linked InやFacebookが登場するまではとても大変でした。しかし、SNSが普及した現在でも、やはり細かい事はface to faceじゃないとなかなか共有できません。このため、年に一度Black Hatでお互いの近況を共有するのが恒例となっています。BlackHat期間中は、参加者の溜り場になっているバーやベンダーパーティなどに人が集まりますが、特にGalleria Barは色々な人たちのオフ会会場になっています。そういった交流の中でネットワークも広がっていきます。今年は、多くの知人が独立起業した事が大きな変化の一つでした。

BlackHat終了後のDefconは、パーティーとしての側面があります。BlackHatとDefconの両方に参加されている方はお分かりかと思いますが、参加費用が全く異なるという事もあり、明らかに参加者の年齢層や雰囲気が違います。こちらは、個人的な印象としては「巨大なパーティ」であり、参加者同士の交流などに主眼が置かれている印象です。プレゼンは非常に技術レベルの高いものもありますが、玉石混合状態です。しかし、Defconには楽しい雰囲気を醸し出すイベントや仕掛け、展示などが沢山あり、BlackHatとは違った楽しみ方があります。今年は、日本のCTFチーム「Sutegoma2」の応援も兼ねて参加しましたが、各国の研究者やカンファレンスのオーガナイザーと新しい交流を持つ事ができ、大変有意義でした。

■ BlackHatで講演しませんか?

日本からもBlackHatで喋るスピーカーが沢山出てほしいという思いから、H23年9月から、インターネット協会で「Black Hatでの国際論文発表に向けたアドバイス」を提供しています。
http://www.iajapan.org/press/isec_20110901press.html

BlackHatでスピーカーになると世界中の研究者と交流を持つ事ができ、一気にネットワークが広がります。我こそはと思われる方は、是非ご連絡くださいませ。


[BlackHatレポート]
・2012-07-30 Black Hat USA 2012 現地レポートその1
 http://www.fourteenforty.jp/blog/2012/07/2012-07-30-1.htm
・2012-07-31 Black Hat USA 2012 現地レポートその2
 http://www.fourteenforty.jp/blog/2012/07/2012-07-31-1.htm
・2012-08-6 Black Hat 技術報告 前編
 http://www.fourteenforty.jp/blog/2012/08/2012-08-06-1.htm
・2012-08-10 Black Hat 技術報告 中編
 http://www.fourteenforty.jp/blog/2012/08/2012-08-10-1.htm
・2012-08-15 Black Hat 技術報告 後編
 http://www.fourteenforty.jp/blog/2012/08/2012-08-15-1.htm