ITシステムの仮想化やクラウド化は今後さらに進展すると予測されますが、仮想環境やクラウド環境でのセキュリティは、従来の環境と比較して、新たな課題 が生じます。それら課題とは主に、パフォーマンスの向上を図りながらセキュリティレベルを維持すること、容易な構築と混在環境を含めた一元管理が求められ ること、構成の柔軟性と拡張性を確保することの3点になります。

パフォーマンスの向上とセキュリティレベルの維持


一般にエージェントレスと呼ばれるセ キュリティ・ソリューションでは、パターンファイルによるファイルの検査しか行えず、未知のウイルス対策や脆弱性対策などへの対策が不十分になります。仮 想環境であっても、脅威の内容は、物理環境と変わりありません。エフセキュア仮想スキャンサーバでは、各クライアントには未知のウイルス対策や脆弱性への 対策の機能は残しつつ、大半の検査エンジンを取り除きスリム化したエージェントに進化させることで、クライアントで使用するCPUやメモリリソース、ディ スク容量を削減します。これらのクライアントから取り除かれた検査エンジンは仮想スキャンサーバで実行され、スキャン結果の共有などを行うことにより、検 査効率の向上を図っています。この方法により、パフォーマンスは向上させながらも、従来からセキュリティレベルを落とさないことに成功しています。


容易な構築と混在環境を含めた一元管理


エー ジェントレスのプログラムでは、実際にはドライバレベルで動作する"隠されたエージェント"として機能します。このような方式は、従来のデスクトップを管 理していた管理者には馴染みが薄く、導入や管理に戸惑う原因のひとつとなります。しかし、エフセキュア仮想スキャンサーバでは、各クライアントの導入方法 や管理方法は従来型の製品と変わらないため、物理環境と仮想環境が混在する場合も、一台の管理サーバで、戸惑うことなく管理することが可能です。さらに設 定やステータス監視について仮想環境を特別に考える必要がなく、既に規定しているセキュリティポリシーをそのまま適用することができます。また、エフセ キュア仮想スキャンサーバは仮想アプライアンスの形式で提供されるため、OSレベルでのサーバの知識を必要とせず、簡単に構築・運用が可能であり、導入・ メンテナンスのコストの削減に寄与します。


構成の柔軟性と拡張性


さらに エージェントレスのソリューションは、特定のハイパーバイザーでしか利用できず、またその動作の実態もブラックボックス化され、特定のベンダーの技術に大 きく依存してしまいがちです。しかし、エフセキュア仮想スキャンサーバでは、クライアントと仮想スキャンサーバ間の通信に、標準化されたプロトコルを使用 しているため幅広いハイパーバイザーで利用が可能であり、高い柔軟性と拡張性を確保して大規模な環境であっても簡単に負荷分散を行なうことができます。