4月からシンガポールに異動になりましたことをこの場を借りてご報告させていただきます。(注:会社やブログを辞めるわけではないですよ。)

私が初めてエフセキュアブログに投稿したのが4年前ですが、その頃からすでにセキュリティエンジニアが相手にするのは愉快犯から犯罪組織へと完全に変わっていました。

私は幸いにして社内、社外問わず本当にクレイジーな技術者といっしょに仕事をすることができ、彼らは犯罪組織が犯したミスを元に、時にはマルウェアの点と点を繋ぎ合わせ、時にはSNSに入り込み、犯罪組織を特定しました。それでも結局逮捕にいたることはありませんでした。国際犯罪の前では自分の無力さを痛感するしかなかったのです。

インターネットが社会インフラとなり変革の時代を迎えようとしているというのに、セキュリティエンジニアがなすべきことはまだまだ山積みじゃないでしょうか。

というわけで今後はサイバーディフェンス研究所に籍を置きつつ、インターポールに出向することとなりました。

IGCI
まだまだ工事中の職場。左下が完成予想図です。

今後も色々な方々にサポートを仰ぐ機会が多くなると思いますが引き続きよろしくお願いいたします。

では最後に(といってもブログの執筆は今後も続けさせていただきますが)書籍サイバー・クライムの監修時に出会って未だに私の頭にこびり付いて離れない言葉を紹介します。主人公バーレットライアンが元同僚たちに向けて送った言葉です。

いまプロレキシックに身を置いている人たちには、自分がなんのために仕事をしているのかをよく考えて欲しい。君たちの仕事は金のためだけじゃないはずだ。僕が会社を立ち上げたときも、この仕事で金持ちになろうとは思っていなかった。徹底的に利益を出そうと思えば出せただろう。でも、欲望まみれの会社にはしたくなかった。僕が思い描いていたのは、企業をサイバー・クライムの脅威から守るセキュリティ会社だ。誰もが不可能だと思うようなことをやってのける会社だ。自分の仕事の意味がわからなくなったら、このことを思い出してほしい。
書籍サイバー・クライムの319ページから引用