2013年は秘密が暴露された年でした。世界中の一般的なインターネットユーザは、米国とその同盟国が行う広範なインターネットスパイ活動に気付かず安穏としていましたが、事態は一変しました。インターネット大量監視は疑う余地がないとプライバシー侵害について怒る人もいれば、さらなる安全性を保証するにはプライバシーを犠牲にする価値があると思う人もいます。議論のほとんどはこの両者によるものですが、あまり語られていない重要な側面がもう一つあります。それはつまり、大量監視が私たちのコミュニケーション文化にどんな影響を及ぼすかということです。

幸い、ここであれこれ推測する必要はありません。この影響についてはたくさんの事例があるからです。オーウェルの『1984年』から、現存する全体主義国家における状況まで。これらのすべてには一つの共通点があり、言ってもいいことと言ってはならないことがあることを誰もが知っています。いわゆるセルフセンサーシップ(自己検閲/自主規制)です。

こうした全体主義国と西欧民主主義国を比較することはできないと思うのであれば、もう一度考えてみてください。米国も英国も報道の自由度ランキングに入ってはいますが、英国のガーディアン紙は、言論の自由が当たり前のことではないことを示す好例です。西欧民主主義の要とされる国においてすらそうなのです。
 
スノーデン氏のファイルの一部が公開されたことから、私たちはインターネットスパイ活動について認識を深めることに非常に意欲的です。それについての意見は分かれますが、無防備なインターネット通信でプライバシーがあるということを誰も主張することができません。そしてそれは、セルフセンサーシップ文化の素地が着実に固まりつつあるということなのです。収集されたデータがどのように使われるかは問題ですらありません。データの取り扱いに対して適正な透明性を確保することはできないので、そのデータが私たちに不利になり得るという懸念が常につきまといます。実際に悪用されるケースは避けられないという事実についてはここで論じません。私たちはネット上で身も蓋もない本音をさらけ出すようになりましたが、その問題は意識レベルが向上すれば終わります。ネット上の大量監視を踏まえて、Googleで何かを検索する前に、その行為が自分のプロファイルにどういう影響を及ぼすかを考えなければなりません。

監視行為が文化に与えるマイナス影響についても、何が語られているかを本当に知るべき組織、米国家安全保障局(NSA)によって文書化されています。そう、NSA自身によってです!NSAの内部には「ゼルダ」という秘密のアドバイス・コラムニストがいますが、その存在はスノーデン氏がリークした機密文書を通じて知られました。このコラムニストの記事では、職場でのスパイ活動を懸念するNSA職員からの質問について述べています。ゼルダは、職員を監視する上司が職場環境を損なうのは、その通りだと頷いています。笑えますよね。

せめてもの救いは、優れた解決策があるということです。それはシンプルで、確立されており、うまく機能することが立証されています。インターネットで大量監視を行ってはなりません。代わりにターゲット認証を利用して、不法行為の疑いが強い人物に関するデータを入手します。その結果、罪のない多くの人のプライバシーが向上します。また、リクエストをレビューできる外部関係者、サービスプロバイダーまたはストレージプロバイダーを取り込みます。彼らは取引先の完全性を保護したいという動機があり、それは当局に欠けているものです。リクエストに何か不正があった場合、彼らが内部告発できることを私たちは確認すればよいのです。
 
このようにして何十年もこの世界は動いてきたのであり、新しいインターネット技術にはこの手法の説得力を弱めるものは何もありません。逆に、自分のハードディスクでなくクラウドサービスでデータを保持する世界においては、この方法は以前よりもうまく機能しています。
 
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