先月、ヒースロー空港に向かっていたセキュリティ・アドバイザーのショーン・サリバンは、特に驚くことでもないある発見をしました。
 
彼が乗っていたシャトルの無料Wi-Fiの規約には、セキュリティ専門家の彼にとってわかりきったことが書かれていたのです。「自身のセキュリティやプライバシーは自己責任です。」
 
人々にインターネット上でのプライバシー(さらには法的権利)を手放させる巧妙な手口の1つが規約への同意です。これは、あらゆるインターネット企業にとってビジネスを継続するために必須の事項です。エフセキュアも例外ではありません。
 
しかし、製品に関する難解な法的事項に対して「はい」をクリックすることは、1つ1つを見れば了承しがたいような項目の膨大なリストに同意することになります。
 
例えば、TwitterやGoogleは、皆さんがどのようにサイトを見つけ、利用しているかについて詳しく知るため、皆さんのIPアドレス、Webブラウザの種類、オペレーティングシステム、参照Webサイト、訪問済みWebサイト、その他6つの項目について情報を追跡していることをご存知でしたか?また、Facebookでは、あなたが投稿した写真や動画をFacebookが好きなように利用することができるほか、投稿されなかったものについても追跡が行われることになっているのです。
 
最近では、サイトがユーザに与える影響を詳しく調べる狙いでFacebookや出会い系サイトのOKCupidが一部のユーザに対して実験を行ったことが大きな注目を集めました。
 
これは、開発者が長年行ってきた一般的なA/Bテストとそんなに違うものなのでしょうか?実際のところ、こうしたデータがサイトのユーザエクスペリエンスの向上につながる可能性はあります。
 
OKCupidの実験は、ユーザのマッチ度を改善するために、意図的に誤ったやり方でユーザを結び付けるというものでした。
 
また、Facebookが2012年に行った実験はそれを超えるものだという人もいます。TechcrunchのCat Zakrzewski氏は次のように文章の中で述べています。「Facebookは、ユーザのフィードを操作し、意図的にユーザを悲しい気分にさせて、ユーザのニュースフィードの感情的傾向がユーザ自身の投稿の傾向に影響を与えるかどうかを調べました。Facebookは、70万人近くのユーザに対して実験を行い、その結果を学術誌に発表しました。」
 
ユーザはクリックで規約に同意したことによってあらゆる種類の実験にさらされました。こうしたサイトを信用した人々は、十年以上前なら想像もつかなかったような方法で日々の感情を捕えられてしまいます。
 
皮肉なことに、OKCupidの規約には、「お客様の地域にいる相性の良い独身者についての情報収集や、学校の研究論文を執筆することのみを目的とした本Webサイトの利用」はできないと明確に記載されています。皆さんの目的は実際に誰かと出会うことであって、実験であってはならないのです。しかしながら、出会いを求めるユーザにとっては実験こそが受け入れなければならない条件になっています。
 
このサイトの規約によって、ユーザは「インターネットの世界に完璧なセキュリティなどない」ということを再認識させられます。
まさにそのとおりです。
 
しかし、こうしたことを気にかけている人はいるでしょうか?オンラインで日常を共有するかたわらで、ハッキングされたり監視されたりする恐怖をサイトはどのようにして私たちになくさせているのでしょうか?
 
ソーシャルメディア中毒(のように見えるもの)は、薬物中毒と似たような作用を脳にもたらしています。気分が上下に浮き沈みし、サイトを利用することの代償に目を向けなくなります。実際のところ、ほとんどの人はあえてそれに気づかないようにしています。
 
QuartzのLeo Mirani氏は最近の文章の中で次のように述べています。「現在、世界にはおよそ15億人のスマートフォンユーザがいます。その中でMyPermissionsをダウンロードしているのは1,000万人もいません。」
 
MyPermissionsは、エフセキュアのPermissionsアプリ同様、各アプリが監視している項目を正確にユーザへ報告するツールです。
 
規約へ同意するたびに自分のプライバシーとセキュリティを放棄したくないと考えている方は、TorやエフセキュアのFreedomeといったプライバシーを取り戻すためのツールをご検討ください。Freedomeは、ユーザをトラッカーから保護し、世界中に置かれた複数の選択肢の中から自分のいるロケーションを設定することによりユーザの電話機を世界各地に移動させることができるVPNソリューションです。これは、サイトにユーザのエクスペリエンスを翻弄させないようにするものではありませんが、ユーザが気づかないままに情報を自ら提供してしまうという事態を防ぐことにつながります。

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