インターネットによって、私たちが現実の世界で慣れ親しんだ議論の文化が全く異なるものに進化したことは、おそらく誰もが認めることでしょう。使用される形容詞は、人を鼓舞するような自由な形式から、常軌を逸した病的かつ不快なものへと変わっています。オンライン上で議論する際の(見かけの)匿名性は、良くも悪くも、よりオープンで率直な意見を引き出します。特にそれが中傷や攻撃的な発言になると、事態は悪い方向に向かいます。
みなさんはこの問題についてどうお考えですか。続きを読んで以下のアンケートにお答えください。
私たちには、中傷から自分を守ってくれる法律があります。しかし、ネット上の犯罪に対する警察の対応はまちまちで、まだ確立されているとは言えません。また、インターネットのグローバルな性質が、調査を困難にしています。少なくとも米国のサービスに大きく依存しているヨーロッパでは、ほとんどの事例が国際的なものです。
この見出しで述べたのは、まさにここフィンランドで最近あった事例です。オリジナルの報道はフィンランド語なので、ここでは短く要約します。ジャーナリストのSari Helin氏は、性的少数者の平等についてブログに書き込みました。例えば、子供たちの友人に二人の母親がいたとしても、自然にふるまい、拒絶するような態度を取らないようにするためにはどうしたらよいかを記しました。これはデリケートな話題で、多くの否定的な意見があったことは驚くべきことではありません。中には明らかに中傷と言えるものもあり、そうした書き込みでは、極めて汚らわしい言葉が彼女に対して使われたりしていました。彼女はしばらく考え、最終的に警察にこの件(主にFacebookのコメント)について届け出ました。
ここからが本当に興味深い部分です。先日、検察がこの件に関する決定を発表しました。告訴を取り下げ、調査すらしないことを決定したのです。なぜでしょうか? Facebookは米国にあり、このちょっとした悪事のために米国当局と連絡を取ることが面倒なのでしょう。別件でインタビューを受けた警察官も、外国に送られている捜査依頼については、おそらく同様の理由から多くの場合回答がないままであると述べています。これはフィンランドの事例ですが、他の国々でも同様のことが起こっているのではないかと考えています。
これで良いのでしょうか。人員についての主張は理解できるものです。当局には、対処すべきより深刻な犯罪が多くあります。しかし、これを受け入れてしまえば法と現実がさらにかけ離れることになってしまいます。何か不正があっても罰せられずにすむことを誰もが知っているのです。これで良いわけはありません。人員を増やし、国際的な調査をスムーズに行えるよう熱心に取り組むべきではないでしょうか。これこそが、現在の法を執行できる唯一の方法です。
もう1つの方法は、ネットに関する議論について私たちの考え方を変えることです。もし私がネット上で性的マイノリティを擁護するようなことを書けば、多くの人が嫌悪感を示し、私のことを悪く考えるでしょう。しかし、この人たちが私の書いた内容に対し自分の考えを書き込み、コメントしたとしたら、何か状況は変わるでしょうか。そんなことはありません。逆にこのような場合、多くの人は侮辱されたと感じるでしょう。私たちは、これまでとは異なるネット上の議論の風潮に、徐々に慣れてきていると思います。ある種の書き込みに対して否定的な意見が寄せられることを私たちは認識しています。こうした否定的な意見に対してどう対応すべきか心得ており、事実無根の誹謗中傷については無視することができます。私たちは信頼できる人物からの意見を重視するため、匿名の投稿は必然的に重要性が低くなります。事実無根で単に感情を吐露したようなものは単に無視すればよく、標的となった人ではなく、書き込んだ人が恥ずべきものです。私たちはこの考え方に向かって進んではいますが、完全にこの考え方が身についているかと言えばまだまだです。
しかし、どちらの方向に進むべきでしょうか。現行の法律を執行し、匿名で中傷する人を起訴するために懸命に取り組むべきなのか。それとも、新しい議論の文化に対する私たちの考え方を身につけるべきなのか。この世の中、白黒はっきりさせることは決してできません。これら両面で自然に発展していくものです。しかし、自分で決めることができるとしたら、どちらの方向に舵を取りますか。より重要だと考える方を選ばなくてはなりません。
ネット上の誹謗中傷などにどう対処すべきでしょうか。
・誹謗中傷についての現行の法律は適切であり、新たなテクノロジーが新たな問題をもたらすとしても、それを執行するために懸命に取り組むべきである。
"The current law about defamation is good and we should work hard to enforce it, even when new technologies bring new challenges."
・ネット上の誹謗中傷に関する法律を厳格に執行することは非常に難しく、人員を浪費するだけだ。ネット上の新しい文化に対する考え方を身につけるべきである。
"Strict enforcement of defamatory laws on the net would be very hard and an unnecessary waste of resources. We have to adopt our mindset to a new culture on the net."
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Micke
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