Facebookを使っている方なら、それをすでに見たことがあるか、もしかするとすでに投稿済みかもしれません。私が言っているのは、Facebookの新しい利用規約はユーザの投稿物の著作権を取り上げるものだと主張し、それを防ぐ目的で書かれたステートメントのことです。要約すると、急速に広まっているこのステートメントは法的観点から見て無意味であり、いくつかの基本的な間違いが含まれています。しかし、人々が自分の知的権利に対する認識を高め、新しい利用規約が脅威になり得ることに気づきつつあることは、非常に良いことだと思います。
 
利用規約とは何でしょうか?新しいサービスまたはアプリケーションの使用を開始するときに表示される難解な法律用語が並んだ文章で、ほとんどの人が単にクリックして次に進みます。それは何のためのもので、重要なものなのでしょうか?ここに、利用規約について、いくつかの基本的な点を列挙いたします。

  • サービス条項またはEULA(エンドユーザ使用許諾契約書)は、サービスプロバイダとユーザの間で結ばれる、法的拘束力のある合意です。これは、基本的に契約です。一般的に、ユーザはボタンをクリックするか、サービスを使用するだけで契約に同意したことになります。
  • これらの利用規約はサービスプロバイダによって決定され、交渉の余地はありません。多数のユーザを抱えるサービスにとって、個々の契約について交渉することは不可能であるため、それも無理はありません。
  • 利用規約は、企業のための防御用ツールです。主な目的の1つは企業を訴訟から保護することです。
  • これらの規約は企業によって決められ、相手側によって読まれることはほとんどありません。言うまでもなく、その結果、私たちユーザにとって非常に不利な条件となる可能性があります。このことは、しばらく前にロンドンで実証されました。
  • ユーザにとってもう1つ悪い面は、競争の欠如です。多くのソーシャルネットワークがありますが、Facebookは1つだけです。利用規約からオプトアウトすることはFacebookをやめることを意味します。友達がみんなFacebookユーザなら、他のサービスに切り替えることは選択肢になりません。ソーシャルメディアは、その性質上独占的なものです。
  • 良い面は、サービス利用規約は法律を変えることができないことです。法令は、同意によって破ることができない、消費者とプライバシーを保護するフレームワークを提供します。不当な利用規約は無効です。
  • ただし、サービスが外国で運営されている場合、自国の法律を適用できない場合があることに注意してください。
  • また、これらの規約は、ユーザとサービスプロバイダとの関係にのみ影響します。当局によって行われる諜報活動に関してはまた別の話で、特に米国を拠点とするサービスの場合、企業が提供したプライバシーに関する約束が破られる可能性があります。
  • 利用規約には通常、ユーザがアップロードしたものをプロバイダが特定の方法で使用するライセンスを付与する条項が含まれています。プロバイダは複数のサーバ間でデータをコピーし、合意された方法で公開する必要があるため、この条項を必要とする正当な理由があります。今回のFacebook騒動が起きたのはこのような条項の程度に関する懸念が原因です。
 
それでは、Facebookの新しいサービス利用規約についてはどうでしょうか?Facebookは、条項を明確にし、理解しやすいものにしたいと主張していますが、本当はそれだけではありません。Facebookは今までもずっとユーザのコンテンツのプライバシーと知的財産権に関してかなり立ち入った条項を採用してきており、今回の変更は、この方向性を一歩進めただけに過ぎません。最近起きた騒動のほとんどは、自分の写真などが販売されたり、他の方法で商業的に利用されたりすることを恐れるユーザによって引き起こされています。新しい規約に対して懸念が生じるのも当然です。まず、Facebookにとってユーザコンテンツがどれだけ重要かを考えてみましょう。新聞のような多くのサービスが、ユーザ提供のコンテンツに依存する程度はますます大きくなっています。しかし、Facebookは究極の例かもしれません。Facebookに表示されるすべてのコンテンツは、ユーザまたは広告主によって提供されています。Facebook自体によって提供されているものは何もありません。自社でコンテンツを作成せずに、約80億米ドルもの収益を上げているのです。言うまでもなく、Facebookにとって私たちのコンテンツを使用する権利を持つことは重要です。Facebookは現在、現在および将来のビジネスモデルを構築するための確固たる法的基盤を固めているのです。

しかしもう1つ、Facebookにとって最も重要なのは、ユーザの信頼です。ユーザのプライベート写真が誰でも見ることができる広告に現れ始めれば、この信頼は大きく損なわれてしまいます。そうなれば、人々とFacebookとの関係が大きく変化し、Facebookが依存している共有コンテンツの量が減少してしまいます。ですから私は、ユーザデータ利用の際はユーザのプライバシー設定を尊重するというFacebookの約束を信じようと思っているのです。
 
このステートメントが誤っている点を2つ考えてみましょう。1つ目は、Facebookはあなたのコンテンツの著作権を奪うものでは*ない*ということです。著作権は、所有権のようなものです。Facebookが現在していること、そして今までしてきたことは、あなたのコンテンツに特定の方法で使用する権利を付与するライセンスを作成することです。しかし、ライセンスを付与したとしても、あなたがデータを所有していることに変わりはないのです。もう1つの誤りは、ユーザによって投稿されるステートメントに何らかの法律的な意義が生じるというものです。残念ながら、それは間違っています。サービス利用規約は、ユーザがサービスを使用することで承認することになるよう設計されており、誰でもFacebookの使用をやめることによって、その規約に拘束されないことを選ぶことができます。しかし、広まっているステートメントは一方的な宣言であり、相互に合意された契約と矛盾しています。

長くて退屈な記事になってしまうので、変更点について深く掘り下げることはいたしません。代わりに、詳しい情報が記載された記事にリンクを貼っておきます。しかし、普通の人が、利用規約を詳しく把握しようとすることが無益であることを明確に示すデータをご紹介します。Facebookの一連の規約にざっと目を通しましたが、何らかの規約が含まれている文書を10種類見つけました。この数は通常のユーザを対象としたものだけをカウントしたもので、広告主、開発者などを対象とした規約は除外しています。これらの規約の全テキストをMS Wordにコピーすると10 ptのフォントで41ページとなり、ワード数は約18,000、文字数は約108,000にもなりました。すごい量です!一番困るのは、どの部分が変更されたかが示されていないことです。ユーザが利用規約を読んでいないという事実に驚く人はいないでしょう。
 
ですから、通常のユーザがこのような規約を本当に理解していないことは明らかです。Facebookの利用規約に対処する最も現実的な方法は、以下の3つの作戦を検討し、最適なものを選択することです。

  1. Facebookの使用を継続し、Facebookがあなたのデータでどのように収益を上げているのか気にしない。
  2. Facebookの使用を継続し、自分がアップロードするものに気をつける。良く撮れた写真や非常にプライベートな情報など、貴重なコンテンツについては、他のサービスを使用する。
  3. Facebookをやめる。これが、真にサービス利用規約を辞退する唯一の方法です。
 
私の作戦はというと、以前の記事で説明したように上のリストの2番です。利用規約について考え過ぎず、考え得る最悪のデータ取り扱いが行われることを予期し、それを心に留めて何を投稿するかを慎重に選びます。大切なものは他のサービスにアップロードして、Facebookにリンクを投稿することができます。
 
今急速に広がっているこのステートメントに投稿しても意味はありません。ただ、それが悪いことで、投稿するべきではないと言う人たちには同意できません。この投稿には法的な重要性が欠けているものの、意識を高めることができる優れた方法です。アンバランスな規約が持つ問題の一部は、その規約を誰も気にかけていないということです。意識レベルが向上することで、人々は投稿する前によく考えるようになり、プロバイダに対しては規約をよりバランスの取れたものにするようある程度のプレッシャーが与えられ、議員達にはもっと積極的な取り組みを行うよう促すことになります。これにより、これらのサービスを制御する法的枠組みが改善されることになります。法律はより中立的な立場で制定されるため、私たちの重要な防衛線です。立法者は少なくとも理論上公正な方法で、企業とエンドユーザの利益のバランスを取る必要があります。
 
安全なネットサーフィンを
Micke

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