最近、フィンランドにいる人々はDoSという略称のサイバーセキュリティ上の脅威に再び直面しています。これは懐古趣味の人々が、私たちが80年代に使っていたWindows以前のオペレーティングシステムであるMS-DOSを再び使うようになったということではありません。今日で言うDoSとは、Denial of Service(サービス停止)のことです。

事の始まりは大みそかでした。OP-Pohjola銀行においてATMからの現金引き出しやネットバンキングへのアクセスに問題が発生したのです。この問題は程度の差こそあれ、現在までほぼ1週間続いています。事件の裏にあるのは、何者かが多数のコンピュータを制御しているということです。これらすべてのコンピュータには、ネットワークトラフィックを使用してターゲットシステムを攻撃するように指示されています。これによりネットワークが過負荷になり、一般の顧客が銀行のシステムにアクセスできなくなります。まるでサイバー空間で大渋滞が起きているようなものです。この攻撃に関与しているのは大抵、マルウェアに感染している一般家庭のコンピュータです。最近のマルウェアは、クレジットカード番号を盗んだり、上記のようにDoS攻撃に参加させるなど、さまざまな目的で使用できるようになっています。

しかし、DoS攻撃は私たち一般のコンピュータユーザにとってどのような意味を持つのでしょうか?まず、利用しているシステムがDoS攻撃を受けたとしても、あなたには何の危険もありません。あなたがDoS攻撃の最中に標的となっているシステムにアクセスした場合でも、その攻撃によってあなたのコンピュータが危害を加えられることはありません。標的となったシステムに存在するあなたのデータも、通常は被害を受けません。DoS攻撃により一般の人はシステムにアクセスしにくくなりますが、攻撃者が標的システムのデータにアクセスできるということはないのです。ですから、皆さんにとっての不都合は、システムを利用できなくなるということだけです。

上述したことはその通りですが、もしご使用のコンピュータがマルウェアに感染し、DoS攻撃に関与したとしたらどうなるでしょうか?DoS攻撃ではコンピュータ資源が使用されるため、インターネットの接続速度が遅くなります。マルウェアに感染することによるその他の危険については、敢えてここでは述べません。ネットサーフィンをする際や添付ファイルを開く際は、デバイスをきれいにしておき、適切な保護プログラムをインストールしておきましょう。これらのことは常識です。自分自身のサイバーセキュリティに注意を払うことでDoS攻撃に立ち向かうことができるのです。

しかし、なぜでしょう?このようなDoS攻撃の裏にいるのは何者で、その目的は何なのでしょうか?現在では子供が遊び感覚で、または犯罪者が企業からお金を奪うために行っているというのが、最も一般的な理由だと考えられています。DoS攻撃の被害に遭った企業がその競合企業を訴えることも度々起こっています。しかしこのような事例が発生するたびに、現在のサイバー社会はどれだけ脆弱なのだろうかという疑問が沸き上がってきます。サイバー戦争に関しては、これまで多くの議論が行われてきました。サイバー空間でのスパイ活動はすでに現実のものとなりましたが、サイバー戦争はまだサイエンスフィクションの域を出ていません。しかしながらこの種のDoS攻撃により、私たちには未来のサイバー戦争の一端が見えてきます。いまだかつて、他国のネットワークを破壊しようとした国はありません。しかしそのような事態が起これば、それは大規模なDoS攻撃のようなものになるでしょう。コンピュータを基盤とするサービスは利用できなくなり、ラジオやテレビ、電力やその他の重要なサービスにも影響が及ぶことになると考えられます。

そのため、ある銀行を狙った短期間のDoS攻撃には、単に顧客の迷惑という以上の意味があるのです。しかし長期に及ぶ攻撃であれば、標的となった企業とその顧客の両方にとってより深刻な問題となっていたでしょう。国規模の攻撃について話すのはやめておきます。サイバー戦争は今日においてはサイエンスフィクションかもしれませんが、将来的には真剣に対応すべき脅威なのです。

安全なネットサーフィンを
Micke