2月10日は、セイファー・インターネット・デー(Safer Internet Day)ですが、これはどういう意味でしょうか?最近のエフセキュアによる調査では、回答者の50%が、インターネットのセキュリティおよびプラバシーをほとんど、または全く信用していないと答えています。今回、ウイルスと戦い、ネットを守る活動で世界的に知られる、エフセキュア セキュリティ研究所主席研究員のミッコ・ヒッポネンにインタビューし、インターネットの現状、今最も注目している新技術、また、インターネットがなくなった場合に最も惜しまれるものについて聞きました。


今年の「インターネット安心デー」のテーマは、「より良いインターネットをともにつくる」です。インターネットの現状をどう思いますか?

インターネットはすばらしいものですが、オンラインの世界では良くないことも起きています。サイバー犯罪者がマルウェアを拡散していることはもちろん、政府がテクノロジーを使って自国民を監視しているほか、テクノロジーによってプライバシーに関するさまざまな懸念が生まれています。私たちが進むことができる道は2つあります。ひとつは、このままデジタル・フリーダムから遠ざかっていく道、もうひとつは開かれた自由なインターネットを守るために行動を起こす道です。


最近、インターネットの革新的技術(ビットコイン、モノのインターネット)の落とし穴についてお話しになっていますね。今注目していて、より良いインターネットをつくる上で本当に有望だと思うサービスまたは新技術はありますか?

私はクラウドソーシングを強く信じています。その2つの例が、ウィキペディアと、キックスターターのようなクラウドファンディングです。ウィキペディアは人類の知識を集めた最大のコレクションです。今の10代の若者たちにとって、百科事典はたった5人の著者によって書かれた、一昔前の、馴染みのない存在です。今日の10代の若者たちは「どうしてそんなものを信頼できるんだ?」と思っています。

クラウドファンディングなら、今までなら出会えるはずがなかった、例えばピンクのリボン収集など、ニッチな興味を持つ人々のネットワークが実現します。そうした人々が集まり、情熱を傾けている一風変わった物事に資金を提供することができます。1つの都市だけでは十分な資金を調達できなくても、インターネット上なら、仲間を見つけ、関心を抱く何かを実行する力が生まれます。私自身も、20件のキックスターターに資金を提供しました。


以前、あなたはインターネットを子供たちに伝えることができないかもしれないと心配していると言っていましたね。それはどういう意味ですか?今後インターネットはどうなっていくとお考えでしょうか?

インターネットが存在しなくなるという意味で言ったのではありません。私が言いたかったのは、私たちは自由で開かれたインターネットを楽しむことに慣れていますが、それを台無しにする方法はたくさんあるということです。私たちが何もしなかったせいで、子供たちが今よりも自由ではなく、オープンでもないインターネットしか使えなくなることは避けたいのです。インターネットが生まれたとき、国家権力側は気にも留めていませんでした。しかし最近、権力側はインターネットの力を十分に認識しており、だからこそ、管理、制限、監視したいと考えています。自由で開かれたインターネットを楽しむにはその対価を支払う必要があります。その対価とは、それを守らなければならないということです。それは、あなたと – 私たち全員の – 責任です。


インターネット安心デーは子供たちに重点を置いています。子供たちのインターネットの利用についてどう思いますか?

子供たちはインターネットについて何も考えていません。それは単に、インターネットがない世界を知らないからです。普段とは違う世界について子供たちに話すことは、18世紀に関する本を読み聞かせるようなものです。彼らにとって、インターネットは電気と同じくらい当たり前のものなのです。もちろん、インターネットが電気のようなものと違う点は、守る必要があるということです。


それでは、インターネットは完全に崩壊に向かっているわけではないのですね。それでも、もし、今日インターネットが崩壊してしまうとしたら、何が一番惜しまれますか?

セレンディピティ、つまり偶然の発見です。無作為にネットサーフィンしていて、存在すら知らなかった、聞いたことのない物事について学べることです。


最後に、読者にメッセージをお願いします。


オンラインの世界で良くないことが起きているにもかかわらず、行動を起こしている人の数はわずかです。できることは何もないと言って、何もせずにあきらめてしまう人もいます。慣れればいいんだ、と。しかし、私はそうは思いません。何かが悪い方向に向かっていることに気づいたら、それを止めようとするべきです。私たち全員が活動家になることはできませんが、小さなことであれば、誰にでもできることがあるのです。


私たちの誰もが行動を起こすための実用的な方法に関するミッコのアイデアをチェックしてください。


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