インターネット上のサイトやFacebookのチェーンメールで皆さんもきっと目にしたことがあると思います。携帯電話のICEという連絡先情報を入力しておくことが救急医療士に推奨されています。ICEとはIn Case of Emergency(緊急時)の略語で、携帯電話の所有者が事故に遭った際の近親者への連絡に役立つものです。便利そうに聞こえますが、まずは、実際にどういうものなのか詳しく見てみましょう。

実際、これは事実に基づいており、よくあるいたずらのチェーンメールではありません。ICEは2005年に英国で生まれ、実際に救急医療士たちに導入されました。性善説に基づいた斬新なアイデアで、スマートフォンが出る前の時代ならうまくいったかもしれません。しかし、今ではひどく時代遅れです。10年前の発想をそのまま当てはめようとするのではなく、時代に合わせて利用するようにしてほしいと心から思います。

その理由は以下のとおりです。
  • まず、ICEは考え方としては正しいものだと思います。しかし、これは救急医療士にとっての一番の関心事ではありません。救急医療士の仕事は、人の命を救うことです。現場では人の携帯電話を操作するよりも、人の命を救うことに集中するでしょう。そうは言いましたが、その後一段落して病院に着いてからでも、ICEの情報は役に立つと思われます。
  • 疾患に関する情報は、外傷患者を助ける救急隊員にとって重要です。疾患のある人は医療用の特別なIDペンダント、ブレスレットなどを身に付けており、救急医療士はそれがあるか確認するよう教育されています。これはICEとは関係がありません。
  • スマートフォンは、オンラインアカウント、電子メール、Facebook、Twitter、クラウドストレージなどありとあらゆるものへの手掛かりとなります。ですから、安全なパスワードでロックをかけておかなければなりません。そうしないと、莫大なデジタルリスクを負うことになります。しかし、そうなると残念ながら、携帯電話の電話帳にICE情報を入力しても意味がなくなってしまいます。ICE情報のために携帯電話を保護しないということになれば、それは本末転倒です。そんなことは決して考えないようにしてください!
  • 場合によっては、ローテクの優れたソリューションの方がデジタル技術よりはるかにうまくいくこともあります。これはそんなケースのひとつです。シールにICE情報を書いて、携帯電話など自分が持ち歩くものに貼っておきます。病院に運ばれたときでも携帯している可能性が高い運転免許証のような身分証明書がおそらく一番良いでしょう。
  • もしも私のようなオタク系であれば、それでもデジタルソリューションが欲しいと感じるかもしれません。そのような方は、ロック画面上でフリーフォームテキストを入力できる機能かアプリをチェックして、ICE用に使ってみてはどうでしょうか。今ではICE機能を独立させている携帯電話もあります。しかし、だからと言って、そのような携帯を完全にシールの代わりとして使うことは避けた方がよいでしょう。シールを補完するものとして使うようにしてください。

では、まとめましょう。ICEは理論上では素晴らしい考えですが、実際のところ救命になくてはならないというものではありません。そのために携帯電話の安全性を犠牲にする価値はありません。ペンと紙を使ってICE情報を作成するだけで済むなら、その方が信頼性も安全性も使い勝手も優れています!

安全なネットサーフィンを。
 Micke

追伸 少なくともAndroidとiPhoneであれば、ロック画面上に完全な医療用IDを表示することもできます。これが良いことなのかどうかはわかりません。なんとなくですが、ステンレススチール製の医療用IDペンダントの方が、生死を分ける瀬戸際の際に使われるアイテムとしてはふさわしい気がします。この医療用IDは、ペンダントを補完するものとして使うのであればもちろん問題はありませんが、実際に医療用IDを必要とする人が、携帯電話の医療用IDだけを頼りにすることがないことを心から願っています!

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