米HBO局『ラストウィークトゥナイト』の司会者、ジョン・オリバーは、月曜日、モスクワで録画したエドワード・スノーデンの独占インタビューを放映し、政府の情報監視に関するレポートに注目することで世界を驚かせました。しかし、国民がほとんど関心を示さないデジタルフリーダムの問題を取り上げたコメディアン、ジョン・オリバーの的を射た試みは、実際に政策に影響を及ぼすことができたのでしょうか?

同じようなことは以前にもありました。

昨年6月、非常に評判の良かった放送回で、オリバーは、周知のとおり、ネット中立性を損なうような米連邦通信委員会(FCC)のガイドラインの提起に対する大きな反発の引き金となったのです。

オリバーは視聴者をFCCサイトのコメントページに誘導し、「チャンスを逃さないで、みなさん。CapsLockキーをオンにしてコメントしましょう」と、特定データの優遇措置につながる政策に対して反対意見を送るよう呼びかけました

それ以来、オバマ政権はネット中立性を全面的に尊重し、それを受けてFCCも「オープン・インターネットを保護する」ことを目的とした400ページにわたる規則に賛成票を投じました。




「愛国者法」に関する今週の回は、6月で期限切れとなる法律の条項の1つで、電子通信の大量収集を正当化するために使用されてきた第215条に着目しました。

オリバーは、この条項を改正する必要があるとのコンセンサスを指摘し、同法によって実際何ができるのか次のように説明しています。「第215条によって、『国際テロを防ぐための調査』である限り、政府は『形のある物なら何でも』求めることができるのです。これは、基本的に自由裁量権です。」

続いてオリバーは、当社のセキュリティ・アドバイザー、ショーン・サリバンが今年初めに「2015年の予測で最も確実な1つの事」で提示した悲観的な見方と同じ見方を示しました。

サリバンはエフセキュアブログに次のように書いています。「『米国愛国者法』第215条および第206条ならびに『情報改革とテロ予防法』第6001条は、期日の2015年6月1日以前に再認可される。(中略)2015年の法改正を期待してはならない。あなたのデジタルフリーダムの侵害は継続する。」

この大いに物議を醸している条項が、なぜまともに議論されることもなくあと5年も継続されようとしているのか明らかにするために、オリバーは、タイムズスクエアにいた人々にエドワード・スノーデンとは誰か説明してもらった街頭インタビューを放映しました。最も近い人でも、スノーデンのことをジュリアン・アサンジと混同し、「あのウィキリークスの人」と答えているのです。

オリバーはスノーデンが亡命生活を送っているモスクワで、スノーデンの話は2013年に国際的なニュースとなったにもかかわらず、米国では大きな改革が起こらなかったのはなぜなのかを、スノーデンに説明しようとしました。オリバーは、アメリカ人は外国の情報監視には関心がないが、どうでもいいようなもの、つまり文字どおり自分の陰部などといったものを政府に見られるのは大いに気にするのだと説明しました。

スノーデンは、陰部の写真を例えに出したオリバーの見方からPRISM、MYSTIC、XKeyscoreといった米国家安全保障局(NSA)のプログラムについて一通りコメントした後、「陰部という観点でこの問題を語ることになろうとは考えもしませんでした」と述べています。

調査中のニュース記事に面白おかしく深く突っ込んでいくバーミンガム生まれのユニークなイギリス人コメディアン、オリバーの番組は、批評家から「報道コメディ」というレッテルを貼られることもありました。しかし、ネット中立性というテーマでは、オリバーは「喜劇風の現状改革主義」に方向転換しています。

残念ながら、今回の番組の終わりで彼は、視聴者の行動を求めるようなことはしませんでした。おそらく、番組はすでに300万回以上オンラインで視聴されているため、政治家に影響を及ぼすには、このテーマに光を当てるだけで十分だということでしょう。けれども、監視と、ISISのような組織の間で、アメリカ国民の懸念が分断されていることを考えれば、実際に改正される可能性は薄いように思われます。

そして、そう考えると、ショーン・サリバンはますます悲観的になってしまいます。

@iamjohnoliverは間違っていないため、私たちがアメリカ政府に自国の監視体制を改革させることができなければ、何も改革されることはないでしょう。
−ショーン・サリバン(@5ean5ullivan)、2015年4月7日


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