ソフトウェアをインストールする際に同意するライセンス条項をユーザは読まないということについて、先週もブログに書きました。その記事は、ユーザのネットサーフィン行動のデータを収集して売ることで収益を得るChromeエクステンション(拡張機能)に対して書かれたものです。人々はこの記事を見て怒り、この機能をスパイウェアだと言いました。たとえ、データ収集に関してはプライバシーポリシーに記述され、ユーザがそれを承認しているとしても、です。しかしこのケースはインターネット上のごくありふれたビジネスモデルの一例にすぎず、ここでの論点ではありません。本当に問題としたいことは、このビジネスモデルについて私たちがどう考えるべきか、ということです。

私たちはネット上で無料のソフトウェアやサービスを利用していますが、それには主に2つの理由があります。もともとネットはコンピュータおたくの遊び場であり、ほとんどすべてのサービスやプログラムは趣味や学術ベースで開発されていました。彼らはそれを喜んで無料で提供し、人々はそれを喜んで無料で入手していました。しかし、企業がネットに参入しようとすると、ある問題に直面しました。信頼できる報酬方法がなかったのです。これにより金銭なしでの対価モデルに対するニーズが生まれました。今日のネットの大部分は、この金銭を伴わないビジネスモデルで支えられています。このモデルを利用した商品は多くの場合に無料だと言われますが、それは間違いで、実際にはなんらかの対価が生まれているのです。最近でもお金による対価モデルはありますが、無料で物を手に入れたいという欲求と金銭を伴わないモデルの両方が今でも健在なのです。

では、この金銭を伴わないモデルとはつまりどういうものなのでしょうか? ユーザに広告を見せるというのが一番よく知られている例です。これはかなりオープンで正直なモデルです。広告は、見てもらわなければ意味がないので、隠すことはできません。しかし、ターゲティング広告となると話は複雑になります。何者かがあなたに関連のある広告を見せるために、あなたがどんな人で何が好きなのかを知る必要が出てきます。ここがプライバシーの問題になるところです。普通のユーザであれば、自分のどのデータが収集されてどのように利用されているのかを確かめる術はありません。どのような法律のもとにデータが保存されているのかや、ベンダーがプライバシー法を守っているのかといったことについては、全く知らないことがほとんどなのです。

これは合法なのでしょうか? 基本的には、合法です。誰でも、個人データの提供について同意するのは自由です。しかし、それでもこれらのシナリオは様々な問題となる可能性があります。国家消費者保護法やプライバシー法に抵触するのではという問題もありますが、最も一般的な苦情は公平ではないということです。普通のユーザがアプリをインストールする度に、多くのページにわたって難解な言葉で書かれた文章を読んで理解することは、事実上不可能です。ベンダーによっては、これを利用して規約の疑わしい部分をそのわけのわからない文章の中に隠しています。こうして、ユーザが全く気付かないまま、規約によってベンダー側に重要な権利が与えられる状況が作られているのです。

App Permissionsは、この問題の解決する開発アプリです。モバイル端末用の最新OSでは、アプリに対して、アプリが必要とする情報源へのアクセス権が与えられなければなりません。これによってシステムは、どのアプリが何をしようとしているのかをより明確に把握し、それをユーザに知らせることができます。しかし、この権利はライセンス条項の少し進んだ解釈になりつつあり、ユーザはそれが何を意味するのかということを考えずに受け入れているのです。

これは合法かもしれませんが、正しいことでしょうか?個人的にはこの状況は持続可能なものではなく、なんらかの対処がなされるべきだと考えます。でも、何をすればよいのでしょうか? この問題を考えるには、いくつかの方法があります。あなたは、どれが一番良い方法だと思いますか?




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有害なライセンス条項にどう対処したらよいでしょうか?

  • ユーザがもっと注意深くなって、何に合意するのかを知らなければならない。こういったビジネスモデルは完全に合法なので最初に確認せずに承認したのであれば文句は言えない。
  •  お金以外の方法でソフトウェアやサービスの「対価を払う」ことに対しては受け入れられる。しかし、ベンダーは、ユーザのデータを活用してどのように収益化しているのについてもっと情報を公開すべきである。データ収集などは、ユーザにリスクを見極める真の選択肢を与えるため、もっと明確に文書化される必要がある。
  •  広告やデータ収集といったビジネスモデルは健全ではないので、禁止または規制されるべきだ。作成者が無料で配布することを望まない限り、ユーザは製品にお金を支払うべきだ。
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しかし幸いなことに、この問題はあなた自身で回避することができます。「無料の」製品やサービスの使用は避け、お金を払うソフトフェアとサービスを使用することを選択すればよいのです。このビジネスモデルはシンプルで透明性が高く、ユーザは物を得てベンダーはお金を得ます。この場合のベンダーは疑わしい条項を規約の中に隠す必要はなく、その代わりにこのようなプライバシー主義を掲げることができるのです。

 
安全なネットサーフィンを
Micke

写真:Orin Zebest(Flickrより)

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