Windows のアップグレードは、これまで国際的なお祭りのようなものでした。世界で最も普及しているOSであるWindowsの最新バージョンが発売されるたびに、パソコンユーザはバージョンアップをし、Windows 7のどこが気に入ったかとか、Windows 8 やVistaのここが気に入らないなどと意見交換をしたものです。

このように考えると、 Windows 10は1つの時代の終わりを象徴するものです。

Windows 10はWindowsの「最後のバージョン」です。Windows は今や普遍的であり、Windowsと互換性を持つほぼすべてのデバイスが、同様の使用感を提供しています。Windows 10にバージョンアップした後は、継続的なアップデートはありますが、新しいバージョンにアップグレードすることはありません。これは「サービスとしてのWindows」の誕生であると『The Verge』は述べています。

最新バージョンへの無料アップグレードを検討しているか、あるいはWindows 10が搭載された新しいコンピュータの購入を予定している場合には、これから述べる5つの点をおさえて、今後長年にわたる利用も想定されるWindowsの予備知識を持っておきましょう。

1. エフセキュアのチーフ・リサーチ・オフィサーであるミッコ・ヒッポネンによると、Windows 10 でも、ダブルエクステンション形式のファイルの場合、初期設定では拡張子が非表示になっています。
この点に関して、エフセキュアのセキュリティ・アドバイザーであるトム・ギャフニーは『Infosecurity Magazine』で次のように述べています。「『doubleclick.pdf.bat』という名前のファイルがあったとします。Windowsで『登録されている拡張子は表示しない』が有効な場合、このファイルはエクスプローラでは 『doubleclick.pdf』と表示されます。PDFファイルと表示されているので、ユーザがこのファイルを選んでダブルクリックしてしまう可能性があります」

「しかし実際にはこれはバッチファイル(.batファイル)で、ダブルクリックすると複数のコマンドが実行されるようになっているのです」

正体不明なファイルを誤ってクリックしないよう、この点に留意しましょう。

2. すべての連絡先とWi-Fi ネットワークのアクセスを共有することになってしまう可能性があります。
Windows Phone が現在そうであるように、Windows 10でも初期設定ではソーシャルメディアに登録された連絡先とWi-Fi ネットワークのアクセスを共有するようになっている点について、Windows 10が搭載している Wi-Fi Sense が、セキュリティリスクであるかどうかに関しての専門家の意見は分かれています。

『ZDNet』のエド・ボット氏は、「ユーザは意識してネットワークアクセスの共有を有効にするはずであり、偶然そうしてしまうとは考えにくい」と指摘し、セキュリティリスクには該当しないと述べています。

一方、セキュリティエキスパートのブライアン・クレブス氏はそれに懐疑的で、ユーザが「これらの確認メッセージに対して、『はい』をクリックしてしまいがちである」点を理由として挙げています。

『The Register』のサイモン・ロックマン氏は次のように述べています。「理論上は、小規模なビジネスネットワークにアクセスしたいと考えた場合、まず従業員数人とソーシャルメディア上で友達になってから、オフィスの駐車場まで運転して無線ネットワークの範囲内に入り、アクセスすることが可能です。このような事態を防止するためには、基本的な保護手段、特にパスワードの共有を防ぐような安全策が有効です」

エフセキュアのセキュリティ・アドバイザーであるギャフニーは、Windows 10に搭載されているWi-Fi Senseは、「偶発的な誤用、あるいは故意の不正利用の影響を受けやすい」と指摘しています。

ユーザはどのような対策を取るべきでしょうか。

クレブス氏は以下が望ましいと述べています。
  1. Windows 10にアップグレードする前に、Wi-Fi のネットワーク名(SSID)を「_nomap_optout」という語句を含む名前に変更しておきましょう。(これでネットワークをWi-Fi Senseから除外することになります)
  2. アップグレード完了後は、Windowsのプライバシー設定を変更して、Wi-Fi Sense によるWi-Fi ネットワークのアクセスの共有を無効にしておきます。

3.  プライバシー問題についてもいくつかの点を理解しておきましょう。
 『The Next Web』のミック・ライト氏は、基本的には「いかなる場合でも、Microsoft はユーザが何をしているかを把握している」と指摘しています。

Microsoftのサービス規約によると、Microsoft は「『Windowsで実行中のアプリケーションの使用データ』や『顧客が接続するネットワークに関するデータ』などを含む、顧客や顧客のデバイスから」のデータを収集することができ、必要もしくは妥当と判断された場合には、これらの情報を第三者に開示することができます。

この点について、ユーザにできることは非常に限られていますが、 プライバシー設定を確認して、広告主に個人情報がもれることを防ぐことはできます

プライバシー問題について詳しく知りたい場合は、『Extreme Tech』をご参照ください。

4.  Windows 10の新しい「アクションセンター」は便利ですが、管理が面倒になる可能性があります。
すべての通知をまとめたアクションセンターにより、Windows は iPhoneに似てきているようにも思われます。これは、デジタル化が進むことが、結局同じところにたどり着くことだからではないでしょうか。

『BGR』のザック・エプスタイン氏は 「すべての通知をアクションセンターでまとめて確認できるという改善は、歓迎すべき」と述べています。しかし、アクションセンターの管理する通知が膨大になり、管理が面倒になる恐れもあります。

また、エプスタイン氏は次のようにも述べています。「Windows 10では、システムトレイで通知アイコンをクリックすれば通知設定を変更できます。[設定]を開き、[システム]と[通知とアクション]の順に選択するのです」

5.  もちろん、エフセキュアの提供する「F-Secure SAFE」、および「インターネットセキュリティ」、「アンチウィルス」は、すべて Windows 10 に対応しています。


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