エフセキュアCRO(セキュリティ研究所主席研究員) ミッコ・ヒッポネン は、今週月曜日に、 Triangulationのホスト役を務める著名なテクノロジージャーナリストのレオ・ラポルテ氏とビデオチャットを行いました。
ラポルテ氏は20年以上前からミッコとエフセキュアの取り組みを高く評価していますが、IT業界の著名人同士が対談するのは今回が初めてのこととなります。今回のインタビューでは、ミッコの四半世紀近くに及ぶエフセキュアでの取り組みが取り上げられました。ミッコは1991年にプログラマーとして、エフセキュアの前身であるデータフェローズに入社しました。
インタビューは以下でご覧いただくか、 こちらから音声ファイルをダウンロードしていただけます。
お時間の許す方はインタビューを最後までご覧いただければ幸いですが、ミッコのエフセキュアでの四半世紀の足跡を簡単にご紹介するため、下記にデジタル時代のセキュリティ脅威との戦いからミッコが学んだ興味深い事柄を挙げていきます。
1. エフセキュア入社前のミッコは、フォークリフトの運転手でした。この仕事は、世界的に有名なウィルスハンターになるよりも、大きな利点が1つだけありました。
フォークリフトの運転手時代は、その日の仕事が終われば仕事のことは何も考えなくて済みました。インタビューでミッコは、何億台ものコンピュータを保護するエフセキュアのCRO(セキュリティ研究所主席研究員)になると、そのような贅沢は許されないと述べています。
2. 初期のマルウェア作成者は、その後興味深い仕事に就いています。
ミッコはラポルテ氏にパキスタンへの旅行について語っています。その旅行の目的は、25年以上前に最初のコンピュータウィルスを作成した2人の兄弟に会うことでした(詳細については以下でご覧いただけます)。パキスタン人兄弟バシト・F・アルビ(Basit Farooq Alvi)とアムジャド・F・アルビ(Amjad Farooq Alvi)がウィルスを作成した動機は、著作権侵害の防止という、2人にとって正当な目的のためでした。現在この兄弟は、もう1人の兄弟とともに 電気通信事業で成功を収めています。また、最初のコンピュータワームであるモリスワームの作成者ロバート・T・モリス(Robert Tappan Morris)は、現在マサチューセッツ工科大学(MIT)コンピュータサイエンス学部の教員を務め、ITベンチャーの育成支援で有名な Yコンビネーターのパートナーでもあります。
3. ミッコが考える最優先のセキュリティ対策は「バックアップ」。
「コンピュータ、iPad、そして携帯電話のバックアップをしておけば、どのような事態に見舞われてもアクセス可能です」とミッコは述べています。
4. マルウェア攻撃は桁違いに大規模。
エフセキュアラボは毎日約35万件のマルウェアサンプルを受け取っています。「エフセキュアでは、これらマルウェアサンプルに基づいて、1日につき1万件から多い時で2万件ものマルウェアを検知しています」
5. AndroidとiOSは制約が多いため、モバイル機器のマルウェア問題は中国以外では深刻化しない。
「これは、たとえプログラマーであっても、手持ちのiPadに勝手に自作プログラムを組み込むことができないためです」とミッコは述べています。Google PlayやApp Storeに自作アプリを出すには、それぞれGoogle社、Apple社の承認が必要です。このモデルはPlayStationやXboxのエコシステムと比較して、セキュリティの観点からは優れているものの、マイナス面もある点をミッコは指摘し、次のように述べています。「このような閉鎖的な環境では、ユーザがプログラム作成者から単なる消費者になってしまっていることが残念だと思います」
ミッコはインタビューの締めくくりに、エフセキュアのプライバシー・ポリシーについて述べています。「エフセキュアは、製品販売において従来からの方針を貫いており、エフセキュアの製品をご購入いただいたお客様の個人情報保護に努めています」
それでは。
サンドラ
追伸:今週ミッコはEstonian Information Technology College(エストニア情報技術大学)でも公開講演を行いましたので、興味のある方はこちらもご覧ください。
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