主人公マーティ・マクフライが過去や未来でさまざまな冒険を繰り広げる映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」 に懐かしい思い出を持つ人は多いのではないでしょうか。「バック・トゥー・ザ・フューチャー」シリーズ3部作で、マーティはタイムマシンに乗って過去や未来にタイムスリップし、さまざまな問題に直面します。元の時代である1985年に戻るにはこれらの問題を解決しなければなりません。

「バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2」で、マーティは1985年から2015年10月21日の未来にたどり着いていますが、今日がまさにその日です。

「バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2」がどのように未来、つまり現在の世界を描いているかについて関心が広がっています 。非常に精度の高い天気予報など、映画の中に登場したアイデアの一部はまだ実現に至っていません。

その一方で、現実のものになりつつあるアイデアもあります。例えば、映画の中でマーティが履いていた自動で靴ひもが締まるシューズについては、非常に似たものをナイキが特許出願しています。また、カリフォルニアに拠点を置く企業がスケートボード界のカリスマであるトニー・ホーク氏と提携して、映画の中で使われていたのと同じようなホバーボードを設計しています。

「バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2」では、ネットにおけるプライバシーの崩壊を予言しているという点で、特に目を引くシーンがあります。これはなかなか楽しいシーンで、特にニードルスには笑わされましたが、現在スマートテレビの普及が進んでいることを考えると、近い将来、自宅のリビングルームでこのような場面が現実になることが容易に想像できます。





エフセキュアのセキュリティアドバイザーを務めるショーン・サリバンは、上司が部下の通話をモニターするという考えは決して突飛なものではないと述べています。映画の中でマーティが体験したのと同じ方法ではないにせよ、実行するための手段がすでに揃っているためです。このシーンでショーンが特に着目したのは次の3点です。

1.   「『バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2』では、部下の通話が上司にモニターされているが、現実の世界では、Facebookのコメントが友人経由で上司に漏れる可能性が高い」

センシティブ(機微)な情報が毎日のようにソーシャルメディアに投稿されています。Facebookに軽率な投稿をして気まずい思いをしたり、仕事を失うことのほうが、上司に通話をモニターされるよりもずっと確率が高いと言えます。

2.  「『バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2』では、通信サービス会社AT&Tが通話中のユーザ情報(好きな食べ物など)を画面に表示しているが、現実の世界では、ユーザはInstagram(インスタグラム)に好きな食べ物の写真を投稿している」

ソーシャルメディアのプロフィールには多くの個人情報が含まれており、通信サービス会社の多くがユーザプロフィールを提供し始めています。このため、好きな食べ物や趣味のような個人的な情報は容易に入手できるようになってきています。親しい知人に限らず、ネットでやりとりするすべての人にこれらの情報が知られていると考えるのが現実的でしょう。

3.  「『バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2』で、マーティは自分のカードをカードリーダーに通して、ニードルスの持ちかけた不正行為の話に乗っている。現実の世界では、パスワードを思い出せないことを理由に、誘いを逃れることもできる」

しかし、パスワードの問題を解決するアプリがまもなく登場します。

Apple Payなどのアプリは、認証に指紋スキャナを採用し始めています。指紋認証技術の普及が進めば、この技術を使ったアプリやサービスが一般的になるでしょう。

ビデオ通話がモニターされる件については、今年の夏 「ハッキングから身を守るためにとるべき方法」でも紹介したように、実行に移すのは比較的容易です。しかしサリバンは、情報をコントロールできないようにするにはもっと簡単な方法があると考え、次のように述べています。

「オンライン電話(VoIP)の通話を傍受するのはさほど難しいことではありませんが、部下の企みを知る方法がほかにたくさんある状況で、わざわざ通話をモニターするというのは考えにくいでしょう」

[写真:10分前のエフセキュア本社の外の様子]

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